オーストラリア放浪記 其の三十五
オーストラリア放浪記 其の三十五
ある日の深夜、なぜだか知らないが目がさえて眠れなかったので付近を散歩することにした。
いまさらながらだが、僕が寝起きしていた公園はベルモア公園(belmore park).その日は少し歩いてエリザベス通りから少し入ったハント通り(hunt street)を歩いていたように記憶している。
昼間はのどかな住宅地が夜になると不気味だ。
すると一人のおっさんが暗闇から突然ヌッと出て来て話しかけてきた。
おっさん「どこいくんだ。」
突然どこ行くんだって言われても困る。
もしかしたらシドニーの街の不審者チェックのための巡回警備かなんかの人だろうか?そのわりにはみすぼらしい服を着ているが。
いやいや私服警備の人かもしれない。
散歩などと答えたひにゃ、不審者確定、連行されかねまい。
考えたすえ「駅にいくところ」と答えた。まー深夜2時に駅に行くというのも十分不審者に該当するが。
するとおっさんが「連れてってやる」と言ってきた。何度断ってもいいから、いいからって言って聞かない。
本当に僕が駅に用事があるのか確認する意味合いも込められているのかも、と考え直し自らの潔白を示すべく最終的に送ってもらうことにした。
駅へ向かう道中、なにかおかしい、と感じた。その人が金はいくら持ってるか?などと高圧的に聞いてくる。
ピタリと立ち止まり睨みながら僕の前に立ちはだかる。
これは強盗だ。と今さらながら気がついた。
とはいえホームレスの僕が金など持ってるわけもない。
「金などない」と言っても睨みつけてくる。
すると目の前の小さな小道を指さしそこに入れと腕を引っ張る。そこは袋小路だということをすでに知っている。 シドニー歴がだてに長いわけじゃない、 シドニーの地理はあらかた頭に入っている。
とゆーことはこいつは僕を袋小路に誘い込んで殴るか、もしくは最悪殺そうと考えているに違いない。入ったら最後だ。危険信号点灯。
僕はそいつの腕を振り切りダッシュで逃げた。
するとそいつもダッシュで叫びながら追いかけてくる。
やばい、やばいぞ、これは。
深夜の街を必死で走る。人生で初めてといっても過言でないくらい限界を超えて全速力で走る。
背後のファック!ファック!との叫び声がだんだん遠のく。
そしてそいつから逃げ切った。
ここで教訓
深夜のシドニーはやばい。
とくにハント通り周辺はレッドゾーンである。